NEWS・トップページ ●保有技術  ●計測サービス・技術相談  ●実験室 データギャラリー  ●会社案内  ●アクセス、問い合わせ

アクテム・ジーワン オーディオ レポート

第一回 プリアンプ編
第二回 パワーアンプ編
第三回 マルチアンプシステム編
第四回 チャンネルディバイダ編
第五回
 電線編
第六回 静電容量編
第七回 負帰還編


***********  第3回 マルチアンプ編  ***********

マルチアンプシステムについて

マルチアンプシステムに挑戦し成功したオーディオマニアは、その変化があまりにも大きいので二度とアンプ1台で全部のスピーカーを駆動するもとのシステムには戻らないでしょう。アマアチュア向けのオーディオ技術雑誌に掲載されるのは、ほとんどこのような成功した人達のシステムの紹介です。ところが、いくらがんばっても満足できるような音が出ず、全部放り出してメーカー製の超弩級プリアンプ、メインアンプ、それに1100万円もするスピーカーに買い替え、これだけ投資したのだからこれ以上の音はない筈と信じている人もいます。これでは記事にならないので雑誌には紹介されませんが、このような人が周囲にもいます。市販の上級機では、アンプとスピーカーで400万円は珍しくありませんから、マルチアンプシステムに散々投資した後ではかなりの負担です。
 今でも忘れられないのは、亡くなられた高城先生宅をお尋ねして、後藤ユニットを使ったマルチアンプシステムの音を聞かせて頂いたときのことです。すざまじい落雷の中、こおろぎがか細い声で鳴きつづけているのを聞かされたときは、スピーカーもさることながら、マルチアンプシステムのすごさに感動しました。しかし、それ以外は感心するようなマルチアンプシステムにはめったにお目にかかっていません。
 いくらコストダウンに努力しても、マルチアンプシステムを構築するには、プリアンプ、チャンネルディバイダー、それにステレオですからチャンネル数の2倍のパワーアンプとスピーカーが必要で、かなりの費用がかかりますから、市販の上位機種を十分に上回る音がでなくては、マルチアンプシステムにする価値はありません。

では、マルチアンプシステムの音のどこが優れているのでしょうか。最大のメリットは混変調歪が激減して分解能が飛躍的に向上することです。1台のパワーアンプで複数のスピーカーを駆動するには、アンプの出力をトゥイーター、スコーカー、ウーハーそれぞれが分担する周波数帯域に振り分けなければならず、ディバイディングネットワークが必要です。これはインダクタンスとキャパシタンスの集合体で、応答速度を遅らせ混変調歪をもたらす大きな原因になります。しかもそれをシステム中もっとも大きなエネルギーを伝達しなければならないパワーアンプとスピーカーの間に入れます。これではせっかく出力インピーダンスの低いアンプでダンピングファクターを大きくしようとしても台無しですし、1メータ何万円もするアナコンダのようなスピーカーコードを使っても、目立った音の改善にはなりません。無論、マルチアンプシステムでも音の振り分けにチャンネルディバイダが必要ですが、これを構成するフイルタはキャパシタンスと抵抗のみでインダクタンスは不要ですし、扱うエネルギーレベルがけた違いに小さく、通過帯域も遮断特性もスピーカーの特性に合わせて自由に設計できます。

まず、マルチアンプシステム入門用として、市販のケース入りスピーカーを使い、手っ取り早くローコストでマルチアンプシステムを楽しむ方法を紹介しましょう。
その構成は、

  プリアンプ:チャンネルディバイダー内臓
DCラインドライブアンプ 1
   パワーアンプ: UHC MOS FET DCステレオパワーアンプ 1
  高音用スピーカー:ビクターSX-LC33MK2 2
   低音用スピーカー:ビクターSXDW75 2台(予算が足らなければ1台でもよい)
 ビクターSX-LC33MK2 は、このクラスの小型スピーカーでは抜群の売れ筋製品、癖の少ない音です。ビクターSXDW75は、数少ないMFBを施したサブウーハーシステムで、小型密閉にもかかわらず引き締まった低音がでる大変良心的な製品です。パワードウーハー(アンプ内臓)ですのでウーハー用アンプは要りません。ラインドライブアンプ内臓のチャンネルディバイダーは、試聴テストを繰り返した末、高音用:カットオフ120Hz 18db ハイパスフィルタ 低音用:カットオフ400Hz 18db ローパスフィルタになっています。周波数帯域が重なっているのは、つながりを良くするためです。大勢の方に聞いていただきましたが、皆さん一様に数ランク上のスピーカーシステムに負けない分解能と迫力に驚かれます。なお、このシステムは、将来中高音スピーカー、アンプを追加して4チャンネルマルチアンプシステムに無駄なくグレードアップでき、最高の音を楽しめるようにすることも可能です。

つぎに、最高級のマルチアンプシステム構築について述べます。市販のマルチアンプシステムは3チャンネルが多いようですが、あまりお勧めしません。そこまでするなら4チャンネルと思うからです。問題点は優秀なチャンネルディバイダが高価で手に入りにくいことで、手間がかかりますが、腕のある方は自作に挑戦されるとよいでしょう。2チャンネルから3チャンネルを飛び越してなぜ4チャンネルかというと、3チャンネルで使用できる優秀な中音用スピーカーが市場にほとんどないためです。4チャンネルにすれば、中古市場でよい中低音、中高音スピーカーを簡単に安く入手できます。ラインドライブアンプ、チャンネルディバイダー、パワーアンプは市販品を使用することもできますが、システム全体を見た場合、無駄が多くコスト高になります。始めから計画的に設計した場合に比較すると、100万円くらい高くなるでしょう。

では、最も合理的と思われるシステムを構築するにはどうすれば良いのでしょうか。まず、1)電源なしで4台のアンプを一つのケースに入れたものを2組作り、それぞれ左右スピーカーのすぐ近くに置く。これによって、高価なスピーカーコードを大幅に節約できる。4チャンネルの場合はシングルアンプに較べて4倍のスピーカーコードがいるのでその節約額は非常に大きい。2)アンプとは別のケースに収納した電源2台を左右それぞれのアンプの近くに置き、左側アンプ4台は左側電源1台、右側アンプ4台は右側電源1台、計2台でまかなう。これによって、電源からの誘導雑音は完全にシャットアウトできる。3)チャンネルディバイダーは左右各チャンネル毎に分離して8台のパワーアンプに内臓させる。電源は各パワーアンプの電源を利用する。市販のチャンネルディバイダーのように独立したケースに入っている場合、チャンネルディバイダーからパワーアンプまでの距離が長くなるので、各チャンネル毎にラインドライブアンプが必要になるが、内蔵させるとパワーアンプに直結できるので要らなくなる上、ケースも電源も不用、大幅なコストダウンが可能である。4)ラインドライブアンプは操作性を考え手許に置き、長い2本の同軸ケーブルで出力を左右アンプ群まで導き分配接続する。このような構成にすることによって、性能の向上とコストの削減が同時にできます。いくら良い電源でも1台で4台のアンプはと思われるかもしれませんが、中高音用スピーカーは能率の高いものが多いので、もともと大電力を供給する電源は要りませんし、左右別々ですので、クロストークも問題ありません。これからマルチアンプシステムを始める方は是非参考にして頂きたいものです。

(by 師匠 A.K.)
2007.03.10

トップページに戻る